『007 First Light』レビュー|若きジェームズ・ボンド誕生を描く、新たな007の始まり

アイキャッチ ゲーム
この記事は約12分で読めます。

作品情報

タイトル007 ファーストライト
原題007 First Light
発売日2026年5月27日
ジャンルアクションアドベンチャー
開発IO Interactive
販売IO Interactive
プレイ環境PS5pro
プレイ時間約15〜20時間(やり込み要素を含めるとそれ以上)
007 First Light 公式キービジュアル. 出典: PlayStation
007 First Light 公式キービジュアル. 出典: PlayStation

あらすじ

本作は、おなじみの敏腕スパイ「ジェームズ・ボンド」が、伝説のエージェント「007」と呼ばれる以前を描く、完全オリジナルストーリーだ。

若き日のボンドは、イギリスの秘密情報部「MI6」の新人諜報員(スパイ)として、人生初となる重要任務に挑む。しかし、その任務の裏には世界を揺るがす巨大な陰謀が隠されており、ボンドは数々の危険な選択を迫られていく。

プレイヤーはボンドを操作し、潜入や情報収集、銃撃戦やカーチェイスなど、さまざまなスパイアクションを駆使しながら任務を遂行する。

失敗や葛藤を乗り越え、一人の青年が伝説のスパイ「007」へと成長していく姿を描いた、新たなジェームズ・ボンドの始まりの物語だ。

良かったところ

「007」の始まりを描いた、新しいボンド像

本作最大の魅力は、「完成されたジェームズ・ボンド」ではなく、まだ未熟な若き日のボンドを描いていることだ。

これまでの007シリーズでは、どんな危機でも冷静に切り抜ける姿が印象的だった。しかし本作のボンドは、失敗し、迷い、ときには感情をあらわにする。

だからこそ、一つひとつの経験が彼を「007」へと成長させていく過程に説得力がある。

シリーズを知っている人ほど、「ここが原点だったのか」と思える場面が多く、新鮮な気持ちでボンドの物語を楽しめた。

若き日のジェームズ・ボンド(ゲーム内モデル). 出典: IGN Nordic

映画を遊んでいるようなシームレスな映像体験

本作で特に驚かされたのは、ゲームと映画の境界をほとんど感じさせない演出だ。

ムービーシーンから自然に操作へ切り替わり、再びイベントシーンへとつながる流れが非常に滑らかで、長編スパイ映画の主人公を演じているような感覚が最後まで続く。

舞台となる街並みや秘密施設も細部まで作り込まれており、場面が切り替わるたびに「次はどんな任務が待っているんだろう」と自然と期待が高まる。

007シリーズらしいスタイリッシュなカメラワークや演出も随所に盛り込まれており、ゲームをプレイしているというより、一流のスパイ映画を自分の手で進めているような没入感を味わえた。

クラシックな悪役の拠点を思わせるロケーション. 出典: ExpectingMrBond.com
クラシックな悪役の拠点を思わせるロケーション. 出典: ExpectingMrBond.com
光と影、雨の質感が際立つロンドン風の街並み. 出典: ExpectingMrBond.com

『Hitman』で培われた自由度の高いスパイアクション

本作を開発したIO Interactiveは、『Hitman』シリーズで高い評価を受けてきたスタジオだ。その経験は、『007 First Light』でも存分に活かされている。

敵を正面から制圧するのか、それとも誰にも気付かれずに潜入するのか。ガジェットを駆使するのか、周囲の環境を利用するのか。同じ任務でも攻略方法は一つではなく、プレイヤー自身が状況を見極めながら最適な方法を選べる自由度がある。

さらに、本作は自由度が高いだけでは終わらない。ゲームとして遊びやすい導線もしっかり用意されているため、『Hitman』シリーズを遊んだことがない人でも、スパイらしい駆け引きの面白さを十分に味わえる。

「ボンドなら、この場面でどう動くだろう。」

そんなことを自然と考えながらプレイしている自分がいて、気づけば自分自身がジェームズ・ボンドになりきっていた。

気になったところ

銃撃戦は意外と歯ごたえがある

本作で少し苦戦したのは、銃撃戦の難易度だ。

勢いよく敵陣へ突っ込むと、四方八方から敵が現れ、あっという間に囲まれてしまう。さらに弾薬にも限りがあるため、敵の出現位置をある程度把握しながら、一人ずつ確実に倒していく立ち回りが求められる。

そのため、遮蔽物に隠れながら少しずつ前進する戦闘が中心になり、映画のように華麗に敵をなぎ倒すというよりは、慎重で堅実な戦い方になりがちだった。

もちろん、これは自分のプレイスキルによる部分も大きいと思う。それでも、007らしくステルスを活かしながら進めるゲームデザインだと考えれば納得できる部分でもある。

アクションゲームとして爽快感を求める人は少し戸惑うかもしれないが、「スパイとして生き残る」ことを重視したゲームとして見ると、この歯ごたえも本作の個性なのだと感じた。

エンドロールの向こう側

なぜ「若きボンド」を描いたのか

『007 First Light』で最も驚かされたのは、「完成されたジェームズ・ボンド」ではなく、その原点を描いたことだ。

これまでの映画シリーズでは、ボンドはすでに冷静沈着で、どんな危機にも動じない伝説のスパイとして登場する。しかし本作の主人公は26歳。MI6に配属されたばかりの若きエージェントであり、経験も自信もまだ十分ではない。

IO Interactiveは、「プレイヤー自身がボンドとともに成長してほしかった」と語っている。

失敗し、迷い、ときには感情に流される。

そんな一人の青年を操作するからこそ、プレイヤーは彼を見守るだけではなく、「自分の手で007を育てている」という感覚を味わえる。

これは映画では描けない、ゲームならではのオリジンストーリーだった。

IO Interactiveだからこそ実現した「スパイになるゲーム」

本作を開発したIO Interactiveは、『Hitman』シリーズで世界的な評価を受けたスタジオだ。

そのため発表当初は、「Hitmanの007版になるのでは」という声も少なくなかった。

しかし開発陣が目指したのは、「暗殺者を操作するゲーム」ではない。

「ジェームズ・ボンドになるゲーム」だった。

敵を倒すことだけが正解ではない。

変装して潜入する。

会話で切り抜ける。

ガジェットを使って突破する。

状況を観察し、その場に応じた最善策を考える。

プレイヤー自身がスパイらしく判断することが、本作最大の面白さになっている。

『Hitman』で培った自由度を活かしながらも、「殺すこと」ではなく「任務を成功させること」に重きを置いたゲームデザインは、007という作品らしさを見事に表現していた。

映画を再現するのではなく、「新しい007」を創った

本作は、どの映画シリーズにもつながらない完全オリジナル作品だ。

ダニエル・クレイグ版でもなければ、ショーン・コネリー版でもない。

それでもプレイしていると、「これは確かに007だ」と感じられる。

その理由は、映画のストーリーではなく、「007というブランドの本質」を大切にしているからだ。

イアン・フレミングの原作小説が持つスパイらしい駆け引き、危険と隣り合わせの日常、そして英国紳士としての品格。

それらを現代のゲームとして再構築することで、映画ファンにも新鮮な驚きを与える作品になっている。

ガジェットにも意味がある

007シリーズを象徴する秘密道具やスーパーカーも、本作では単なるファンサービスでは終わらない。

Qが開発したガジェットは潜入や情報収集に欠かせない道具となり、アストンマーティンも映画の小道具ではなく、ゲームプレイそのものに組み込まれている。

こうしたおなじみの要素を「遊び」と結び付けたことで、プレイヤーは自然と「007の世界で任務を遂行している」という没入感を味わえる。

映画を見て憧れた秘密道具を、自分の手で使える。

それこそがゲーム版ならではの魅力だった。

Q課のカスタムが施されたアストンマーティン・ヴァルハラ. 出典: 007 Store
Q課のカスタムが施されたアストンマーティン・ヴァルハラ. 出典: 007 Store
潜入に欠かせない多機能デバイス「Qウォッチ」. 出典: Eurogamer
潜入に欠かせない多機能デバイス「Qウォッチ」. 出典: Eurogamer

エンドロールのあとで

『007 First Light』は、ジェームズ・ボンドの新しい物語であると同時に、「007」というブランドをゲームという形で再定義した作品でもある。

映画の名シーンをなぞるのではなく、「なぜボンドは007になったのか」という問いに真正面から向き合ったことで、本作はシリーズ経験者にも、新しく007に触れる人にも開かれた作品になった。

そして何より印象的だったのは、プレイヤー自身がボンドと一緒に成長していくことだ。

任務をこなし、失敗を重ね、少しずつスパイとしての覚悟を身につけていく。

エンドロールが流れる頃には、「007が誕生した瞬間」を見届けたという満足感だけでなく、自分自身も一本のスパイ映画を演じ切ったような余韻が残っていた。

まとめ

『007 First Light』は、ジェームズ・ボンドという伝説をなぞる作品ではなく、その始まりを描いた新たな007だった。

映画さながらのシームレスな映像体験、プレイヤーの選択を尊重するスパイアクション、そして未熟な青年が少しずつ「007」へと成長していく物語。そのすべてが高い完成度でまとまっており、一本のスパイ映画を自分の手で演じきったような満足感を味わえた。

制作背景を知ると、本作が過去の映画を再現することではなく、「ゲームだからこそ描けるジェームズ・ボンド」を目指していたことがよく分かる。その挑戦は見事に成功しており、長年の007ファンはもちろん、シリーズに初めて触れる人でも楽しめる作品に仕上がっていた。

銃撃戦はやや歯ごたえがあり、慎重な立ち回りを求められる場面もあったが、それも「一人のスパイとして任務を遂行する」という本作のコンセプトを際立たせる要素の一つだったように思う。

映画を観るように物語へ没入し、ゲームだからこそ味わえる緊張感と達成感を楽しめる。

『007 First Light』は、新たなジェームズ・ボンドの第一歩として、シリーズの未来に期待を抱かせてくれる一本だった。

あなたは、このエンドロールのあとで何を感じましたか。

作品は終わっても、その余韻はまだ続きます。

このゲームが気になった方はこちら

🎮パッケージ版を購入する
ダウンロード版を購入する

PlayStation Storeで『007 First Light』を確認する

🧸ファン向けグッズ

参考資料

タイトルとURLをコピーしました